コラム

ブスアンガ

ブスアンガ

ずっとずっと会いたかったんだ

ダイビングを始めた時から、いやもっともっとずっと前、子供の頃からジュゴンの存在は知っていた。でも日本に住むひとりの子供にとっては、ジュゴンという生き物はおとぎ話の中の生き物と、同じような存在だったような気がする。これまでジュゴンと出会えるかもしれないというダイビングスポットにも潜ってきたが、なかなかそう簡単に出会えるものではないということは、毎回思い知らされてきた。

ジュゴンのアバン

もともと警戒心の非常に強いジュゴンは、自ら人間に近寄ってくることはほとんどないのだが、例外となる一頭のジュゴンがいる。「アバン」と名付けられた個体は、人間を恐れることなく、というよりも全く意識することなく海草を食べ続け、いとも簡単に接近することができる。一心不乱に草を食むアバン。これが数分間続き、呼吸をするためにフワッと浮き上がり、すーっと太陽の方へ向かっていく。下から見上げたアバンのシルエットは、人魚そのものだった。

きらめくサンゴ光の中で潜る
ジュゴンダイブに出る時は基本的にワンデイトリップとなる。リゾートを出航してから2時間ほどでアバンの住むAban島を目指しダイビング。休憩やランチを挟みながら、その後2ダイブを周辺のDimipac島、Turtle島などで潜る。砂地とサンゴのコンビネーションに燦々と降り注ぐ太陽が気持ち良い。



砂地には無数のアニマルトラックが残され、この周辺でもジュゴンは頻繁に現れるのを物語っている。つい先ほどまであれだけジュゴンとの邂逅を楽しんでいたのに、思わず周囲をキョロキョロ見渡してしまう自分がちょっと面白い。ジュゴンの気配を感じながら、ウミガメやサンゴを楽しむなんて贅沢な話ですね。

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