隠れ技 − カモフラージュの美

2011年11月1日(火)

水中生物の生き延びるための知恵や環境への適応能力は大変優れたものであり、特に敵から身を守る技やハンティングの技は、たくさんの海洋学者が好む題材のひとつでもあります。このカモフラージュ上手な生物達を見つけられた時の感動と言ったら、ダイバーにとってはたまらない瞬間だというのは言うまでもありません。小さな生物だけではなく、割と大きな生物もまたサンゴ礁の中に見を潜めているのです。そして時には、あなたの目の前で!!

以下の写真は、ワカトビのゲストが提供してくれた、カモフラージュの達人たちの写真です。どうぞお楽しみください。



1. コブシメや他の頭足類のタコやイカが見せる体色の変化は、本当に美しいものです。いくつもの細胞を組み合わせ、色と光極性を上手に使い、敵から身を守るために色を変えたり、ハンティングのために色を変えたり、または仲間とコミュニケーションをとるために上手に色を変化することができるようです。“海のカメレオン”とよく形容されるコブシメは、体の色を瞬時に変える能力を持っています。

写真提供:ワカトビゲスト Mario Vitalini



2. カミソリウオ(英名:ロバストゴーストパイプフィッシュ)は通常、頭を下にした逆立ち状態で泳いでいますが、まれに水平の姿で移動する姿も見られます。そしてペアで見られる事が多く、オスよりメスの方が大きく、砂地に生息する甲殻類をエサとしています。ニシキフウライウオ等と比べると、長い口先がとても特徴的です。背びれは第一背ビレと第二背ビレに分かれ、腹ビレは大きく、メスは卵を保護するための袋を持っています。カラーバリエーションは、明るい緑、緑がかった茶色、茶色、赤茶色、灰色、黄色などが発見されています。いくつかの個体には、濃い黄色やオレンジ色の模様やピンク色の藻、糸状の藻が付着している事もあるようです。生息する場所に対応し色のパターンが変わってくるようです。

写真提供:ワカトビゲストAdam Middlemass



3. オニダルマオコゼは自ら体を揺すり、目と口だけを残し、身を完全に砂地に隠してしまいます。このカモフラージュの達人を見つけるには、鋭い視覚だけではなく辛抱強さも必要となります。ダイビングを通じ、サンゴ礁に住む様々な生物に出逢えるなんて、本当に素敵な事ですよね!

写真提供:ワカトビゲスト Ken Knezick



4. オニダルマオコゼのカモフラージュの技は、既にご案内いたしましたが、ここでは防御方法をご案内したいと思います。彼らは、背骨から背ビレにかけて猛毒を持っています。もし踏んでしまった場合、彼らが自分の身を守るために最後にする事というのは・・・踏まれて圧力がかかった背骨の袋より毒を押し出し、外敵に注入することなのです!                               

写真提供:ワカトビゲスト Wendy Jansson



5. またオニダルマオコゼは、待ち伏せして襲う生物でもあります。彼らは、動かず静かに獲物を待ち続けます。時には数時間に及ぶ事もあるようです。そして小さな魚、エビやカニまたはタコやイカなどが目の前を通り過ぎる瞬間、なんと!大きく口を開け、予期していない魚などを、目にも止まらぬ早さで水ごと一気に飲み込んでしまうのです!!

写真提供:ワカトビゲスト Aki Ihalinen



6. カエルアンコウもまたカモフラージュの達人です。カラーバリエーションはそれぞれの種類によって異なるだけではなく、同じ種類の中でも様々な色のカエルアンコウが発見されています。体はスムースでなめらかな感じのものから、藻やイボ、斑点などがあり、これらがさらに海綿の様に見えるため、上手にカモフラージュできる訳です。

写真提供:ワカトビゲスト Ken Knezick



7. カエルアンコウを探せ! これこそカモフラージュの達人、ぼてっとしたこの魚は、体に付いているイボや糸状の繊維、筋、斑点を生息地に似せる事ができるため、時には岩や植物または他の動物に見せかけ、どんな環境下でも上手にカモフラージュする事ができるのです。そして驚く事に、彼らは数日から一週間ほどで周りの色に体色を変える事もできるようです。

写真提供:ワカトビゲスト Doug Richardson

Source: © 2010 John G. Shedd Aquarium - Chicago, IL
http://www.sheddaquarium.org/frogfish.html



8. ワニのような口と頭を持つワニゴチもまた、周辺の色に合わせ体の色を変える事ができる魚のひとつです。   

写真提供:ワカトビゲスト Jerry Bosken



9.オニカサゴの特徴でもある鋭い“トゲ”には猛毒があり、トゲは有毒粘液でコーティングされています。よく‘凶暴で危険な魚’だと思われがちですが、実は非常に穏やかな性格の持ち主なのです。ただし、脅かされた場合には、自分の身を守るため背棘が突出するので気を付けてください!

写真提供:ワカトビゲスト Michaela Strazanova



10. カサゴ科の魚は体の色だけではなく、皮膚の表面も周辺に合わせて変える事が出来るためサンゴや岩のように見えるので、見逃してしまうこともよくあります。

写真提供:ワカトビゲスト Pete Taylor



11. 他のカモフラージュ上手と言えば、ムチカラマツエビもそのひとつ。この小さな小〜さなエビは、ムチカラマツの枝でしか見る事が出来ません。ポリープに身を似せ、藻やプランクトンを餌としています。とても小さいのでピントを合わせるのにも一苦労なのに、カメラを向けると反対側に隠れてしまう・・・マリオさんよくできました!! 

写真提供:ワカトビゲスト Mario Vitalini

Source: © 2008 What’s that fish?
http://www.whatsthatfish.com/fish/whip-coral-shrimp/1366



12. 猛毒を持つブルーリングオクトパスのすぐ隣を泳ぐカミソリウオのペア。なんと!この写真はダイバーではなくスノーケラーがコンパクトカメラで撮影したものなのです!しかもワカトビのバンガローの目の前でですよ!!

写真提供:ワカトビゲスト Adam Middlemass



13. 写真提供:ワカトビゲスト Mario Vitalini


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