おとなしそうだけど、本当は・・・

2013年1月4日(金)

海が好きな人にとっては、穏やかさと静けさを持つ海は美しい別世界のようかもしれませんが、そこに住むたくさんの生物にとっては、 天候や潮の流れなどにより急に変化してしまう厳しい環境もあります。食べる物を探したり、安全な場所を確保して外敵に備えたりと海に住む生物たちは毎日大忙しです!

危険に直面するたび、それまで以上に警戒するようになり、生き残るための新たな方法を生みだしていく生物たちに注目してみましょう!!

海が好きな人にとっては、穏やかさと静けさを持つ海は美しい別世界のようかもしれませんが、そこに住むたくさんの生物にとっては、 天候や潮の流れなどにより急に変化してしまう厳しい環境もあります。食べる物を探したり、安全な場所を確保して外敵に備えたりと海に住む生物たちは毎日大忙しです!

危険に直面するたび、それまで以上に警戒するようになり、生き残るための新たな方法を生みだしていく生物たちに注目してみましょう!!


写真提供:ワカトビゲストSteve Miller

生き残るために海の生物たちは、捕食されないための方法や自分自身はもちろん仲間や幼魚を守るために行動パターンを変えたり、巣を作ったり、テリトリーを持つ魚などたくさんの異なるテクニックを持っています。


写真提供:ワカトビゲストClaus Meyer

いくつかのウミウシは、身を守るために化学物質を作り出すということはご存知でしたか?!

その一例が、この美しいゾウゲイロウミウシ (Hypselodoris bullocki) で、食べてもとても苦く美味しくないという事を捕食者に覚えさせたのか、誰からも見向きされません!

生物学者たちは、ウミウシが作り出す天然の毒素はサンゴ礁の無脊椎動物から取り入れた物だと考えており、将来の医学に活用できないものかと研究を続けているそうです。


写真提供:ワカトビゲストEric Cheng

フグの仲間も致命的な毒を持ち、防御に使っています。

基本的にフグは、危険が迫ると体を風船のように膨張させ、実際よりも大きく見せることにより捕食者を思いとどまらせます。見かけは美味しそうに見えるかもしれませんが、膨らんでいない場合でも全身に棘を持っているため食べるのに苦労しそうです。しかし、そのような警告を無視した空腹に耐えきれなかった魚が、好運にも?フグが膨らむ前に飲み込んだりするとテトロドキシンという毒が胃の中で広がり、結局は死に至ることになってしますのです。

この神経系の毒は、主に卵巣と肝臓に含まれていますが、腸や皮膚、筋肉にも微量に存在します。サメなどの大型の魚には命に影響はありませんが、私達人間は死に至ることもあります。フグは泳ぐのが遅くおとなしそうに見えますが、その性質を補うために神経毒や棘だけではなく、時には攻撃してくる相手に噛み付くこともあり、噛み付かれた魚は毒が体にまわり死に至ることもあるのです!


写真提供:ワカトビゲストMarina and Victor Zaslavsky

ハナミノカサゴがヒレを広げてホバーリングする姿は美しいものですが、背びれに強い毒を持っているので危険な魚でもあります。鮮やかな色合いは、強い毒棘を持っていることを警告しています。

ハナミノカサゴは、オニカサゴなどと同じフサカサゴ科の魚です。この科の魚には、カムフラージュが上手な種もいますが、一つだけ共通している事は多かれ少なかれ毒を持っているという事です。


写真提供:ワカトビゲストWayne MacWilliams

ミノカサゴの様にオニカサゴもまた毒棘を持っているのですが、オニカサゴは背ビレに毒素の含まれた粘液で覆われた鋭い棘を持っていて、上からの攻撃に備えています。これに加え、外敵から身を守るために周囲にカムフラージュする技も持っています。そして獲物が近づいてくると、オニカサゴは口と鰓を開け水と獲物を一気に飲み込みこんでしまうのです!


写真提供:ワカトビゲストWayne MacWilliams

ミノカサゴとオニカサゴの親戚のようなオニダルマオコゼもまた毒を持っていますが、オニダルマオコゼは攻撃された場合にのみ、その毒を使います。

石のように見えるオニダルマオコゼを何も知らない人が浅瀬で踏んでしまい、被害に遭うケースも少なくありません。オニダルマオコゼは背ビレの棘に猛毒を持ち、脅されたり邪魔されたりした時に神経毒が分泌されるので、浅瀬で手や膝をつくときには十分注意が必要です!


写真提供:ワカトビゲストGeert Vercauteren

リーフスティングレイなどのエイの仲間は、身を守るための長い尾を持っています。この尾には、毒の含まれる棘がある事は皆さんもご存知だとは思いますが、エイがこの棘を使うのは身を守るための最終手段という事はご存知でしたか?

相手が近くに来すぎたり、胸ビレに触れたり、危険を感じたりすると尾が無意識のうちに反応し、棘に毒を流し込み攻撃する仕組みになっています。いくつかの例では、その棘を切り離す事ができ、傷口にはまり抜くのに苦労したというケースもあったようです。エイは壊れた棘を速やかに再生する事ができるようですが、刺された人もエイと同じくらい可哀想ですよね?ちなみに、この棘は骨状軟骨物質で作られているため、攻撃してくる魚や人間の皮膚を貫通することができ、毒を含んだ粘液で覆われています。


写真提供:ワカトビゲストClaude & Lolita Voirol

ワカトビのサンゴ礁は種類が豊富なため、とても色鮮やかでお花畑のようです。しかし、間違った場所に手を着くと何かに刺されてしまい、すぐに触ってはいけない物だったということに気が付かされます。

ハネガヤやクラゲ、サンゴ、イソギンチャクなどの刺胞動物は、身を守るための刺胞毒を持っています。


写真提供:ワカトビゲストTom Reynolds

サンゴ礁に住む魚たちは、地球上で最も細密に作られた動物の一つだと思いませんか? しかし、そのきらびやかな装いは見せるためのものではなく、他の動物や生息している周囲に似せていたり、有毒であることを知らせる警告のための色であったりします。幼魚の時には、同じ種の成魚に襲われないようにするため全く違った色や模様を持つ魚も少なくありません。


写真提供:ワカトビゲストLisa Collins

シマキンチャクフグは、自分自身を主張し目立つ色合いをしていますが、捕食者は非常に有毒である事を知っているため、近くにいても決して襲うことはありません。面白いことにノコギリハギはこのアイディアが気に入ったのか、色合いだけではなく行動パターンも真似て、シマキンチャクフグそのものの様に装っているので、誰に襲われる心配も無く過ごしているのです!

本当にそっくりなこの魚を識別するポイントは、背ビレにあることをご存知でしたか?本物のフグの方は、背骨の後方に小さな背ビレを持っているのに対し、偽物の方はカワハギ科特有の幅広い背ビレと臀ビレを持っているので、ここに注目してみると簡単に識別することができますよ。


写真提供:ワカトビゲストBo Harper

サンゴ礁に住む一部の生物は、身を守るための棘や毒、化学物質などを備えている生物もいれば、硬い骨格や殻を持つもの、または警告するための派手な色や模様をしていて捕食者から食べられる恐れのない生物もいたりで、本当に様々です。


写真提供:ワカトビゲストDanilo Trinchao Pires Rios

甲殻類は、柔らかい体を持っているため丈夫な殻を背負っています。襲われた時は、中に隠れることで身を守ります。丈夫な殻が彼らの城となるのです!

実は、その城の奪い合いがヤドカリたちの中では頻繁に行われており、良い貝殻を見つけることは容易いことではありません。海に遊びに行った時などは、ヤドカリたちの大切な住み家になる貝殻を、無闇に収集しないようにしてくださいね!


写真提供:ワカトビゲストAdam Wandt

サンゴ礁に生息する生物たちは、身を守るために捕食者に対応するための方法や幼魚や仲間を守る方法、自分たちのテリトリーや巣穴を持つ種など、様々なテクニックを生み出しました。これらの特殊な防御方法をまだ持っていないいくつかの生物は、他の種と巧妙なリレーションシップを作るか、他の種と一緒に生活しながら学んでいく必要があります。

ウミシダをよく見てみると、カクレエビの仲間やウミシダウバウオ、コマチコシオリエビなどウミシダ類に共生する生物を見つけることができます。ウミシダは中央の上面部分に口を持ち、U字型の腸と肛門が口の隣にあり、粘着性のある羽根のような腕の部分で水中を漂う小さな粒子を捕らえては口へと運んでいきます


写真提供:ワカトビゲスト J Watt

ムチカラマツやネジレカラマツなどに共生するムチカラマツエビのように、何かに共生する生物は、ホストと似たような色合いをしていることがほとんどです。

このムチカラマツエビは1cm程の大きさで、生息するムチカラマツの色により、黄色、オレンジ、緑色とカラーバリエーションも豊富です。


写真提供:ワカトビゲスト Ken Knezick

そして最後に忘れてはいけない、イソギンチャクに住むみんなの人気者クマノミについてです。(写真:セジロクマノミ)

イソギンチャクの根元は、自らの触手に刺されないよう粘液で覆われているという事をご存知でしたか?クマノミなどのイソギンチャクを隠れ場所にしている生物たちもまた触手から保護するために繰り返しその粘液を体に塗っているのです!

このように、サンゴ礁に住む生物たちは様々な方法で身を守り、食うか食われるかの競争の激しい世界で生き抜くすべを見出していくのです。


写真提供:ワカトビゲストWarren Baverstock, verstodigital.com

ワカトビダイブリゾートの日本語のウェブサイトは、こちらからご覧いただけます。

http://japan.wakatobi.com/home_jp.php


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