青いライトの下で見る水中世界

2013年8月12日(月)

スキューバダイビングは、サンゴ礁やクレバスなどの小さな場所に隠れている生物を探したり、ドロップオフやピナクルなどの地形を楽しめたりすることから、目で楽しめるスポーツでもあります。魚を始め水中に生息する生物は、私達人間の目には見えない波長の光を反射できる能力を持ち、特殊な光を発していることも最近の研究では明らかになっています。
ワカトビダイブリゾートでは、この ‘生物の発光’ という特別な現象を実際に体験できるとても限られた場所でもあります。多種多様なサンゴと生物が生息するこのエリアは、未だ明らかになっていない様々な現象を観察するのに理想的なエリアでもあるのです!

1. 生物の発光は、内側から輝いているようなユニークな色で見ることができます。

偏光や燐光とは、異なるので勘違いしないでくださいね。物理学的な発光とは、ひとつの光または色の波長が吸収され、そして再放出するときに発する光であり、波長の光や色とは全く違ったものです。
発光する対象物に普通のライトを当てると、私達が普段見える色に見えますが、UVライトを使うと青色が吸収され再放出する青色が蛍光色に変わり、全く違う明るく輝く蛍光発光の色で見ることができます。このことから、一つの色から完全に違う蛍光色に変える能力を持つ水中生物も発見されています!

一例として、普段このクサビライシはベージュっぽい茶色に見えますが、特殊なライトを当てると蛍光の緑色に見えるのです!



写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams

2. 太陽光の下で見ると地味なこのウツボも、特殊なライトを当ててみると青色が吸収され、再放出する全く異なった蛍光色で見ることができるのです! これは、ブラックライトを使った時と同じような効果と言えます。



写真提供:ワカトビゲストWayne MacWilliams

3. 科学者たちは、1970年代にこの海洋生物の発光について研究を始めていましたが、一般のダイバーが体験できるようになったのは、つい最近のことです。

水中のフィルム制作をしていたGuyとAnitaが、この素晴らしい現象を撮影するためにワカトビを訪れたのをきっかけに、お客様にも体験できるよう2010年にサービスを開始し、”FLUOダイビング” として知られるようになりました。



写真提供:ワカトビゲストWayne MacWilliams

4. GuyとAnitaが制作した”Watercolours”というDVDシリーズの”Beyond the Blue”というエピソードでは、サンゴや水中生物が発光するユニークな現象を明らかにし、発光するが海洋生物にとって重要な役割を果たしていることをまとめています。

世界をリードする科学者たちと協力しDVDを作成したこの2人は、そのノウハウや特殊な技術を生かし、ワカトビダイブリゾートを訪れるお客様のためにこのユニークなダイビングサービスを開始したのです。



写真提供:ワカトビゲストWayne MacWilliams

5. 生物の発光についてリサーチを続けてきたチャールズ・マゼル博士は 「水中で何かとても珍しいモノや水中生物が発光している姿を見られることは、今までの人類の歴史にはなかったことだし、世界でも限られた人間しか知らなかったことです。おそらく90%以上の人が見たことのない現象だと思います!」と、語ります。

写真は、オラウータンクラブが発光している様子です。



写真提供:ワカトビゲストWalt Stearns

6. この発光する現象は、太陽が沈んだ後の夜に見ることができます。

普通の水中ライトではなく、強くて青い光を発する特殊なライトを片手に、そしてマスクの上に黄色いフィルターを付けてFLUOダイビングに出かけます。

潜行しリーフに沿って泳いでいくと、特定のサンゴやカサゴなどの動物が何かに弾かれたように発光している姿を見ることができます!



写真提供:ワカトビゲストWalt Stearns

7. 研究を続けてきた海洋科学者たちも、未だになぜ海洋生物が発光するのか実はハッキリ分かっていないのが現実です。サンゴが身を守るためにそれを使っていると考えている学者や強い日光からコロニーを守るため、または光があまり届かない環境での光合成を助けているという説もあり様々な意見が飛び交っています。

魚が体の模様や柄、色を変えて異性の気を引こうとしたり、捕食者からから逃げたり、獲物にそっと近づいて行く時など、魚が色をコミュニケーション・ツールとして利用していることはよく知られています。このような事からも、発色する魚も仲間とコミュニケーションを取るためなのではないかと考えられています。海洋生物の色を使ったシグナル方法についてなど海洋生物に詳しい、マゼル博士は「サンゴ礁に生息する動物たちは、色を使って何かを伝えようとしているのではないか?」と、語ります。

FLUOのライトで見ると、さらにエイリアンっぽく見えるシャコの仲間。



写真提供:ワカトビゲストWayne MacWilliams

8. エソの仲間の一部は発光するけど、発光しない種もいるのか、もしくは全ての種が発光できるけど、何かを伝えたい時など必要な時にしか発光しないのか、全く分かっていません。

GuyとAunitaの2人は、瞳の中でリング型に発光しているのは太陽から目を保護するためなのではないかと推測していますが、このことに関してもハッキリしていません。



写真提供:ワカトビゲストWayne MacWilliams

9. 文明が進んだ今も水中世界は、たくさんの謎に包まれています。

特にこの現象は、科学の世界でもダイビングの世界でも新しいことなので、ビジュアル的に斬新というだけではなく、今まで全く知られていなかった新しい発見の可能性も秘めています。

FLUOダイビングに行き、誰も知らなかった生物が発光しているのを発見したり、新しい行動を目撃したりする可能性も十分にあります! その一例に、最近NOAAが行った調査中に、偶然深海で発光するサメを世界で始めて見つけたという発見があったのです!!



写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams

10. ワカトビダイブリゾートの創設者ローレンスは、今でも記憶に残るダイビングだったと、初めてFLUOダイビングを体験した時の事を振り返ります。また、「AnitaとGuyの水中で蛍光発光する映像を見た時は、この素晴らしい現象を自分の目で見て確かめたいと思った!」 「10代の娘を連れて物理のレッスンを受けたら、もっと興味が湧いてきました。リーフの上を泳いでいくと、隠れているはずの生物が蛍光色に光っているので簡単に見つけることができました。007の秘密兵器を使っているような感じでした。」とも、コメントしています。



写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams

11. 「潜り慣れたハウスリーフも、ソフトコーラルやハードコーラルを始めウミウシや魚など様々な生物が発光していたので、全く違う世界に来てしまったようでとてもビックリしてしまいました! また、同じ種類のサンゴでも発光しているのとしてないのがあることや、違う模様で発光していることにも気が付きました。あの日は、海ウチワの所で発光しているピグミシーホースを見られたことが一番の大きな発見です! この現象については、まだまだ全然分かっていないので、これから色々な発見がありそうなので注目しています。」とローレンスは語っています。



写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams

12. ワカトビダイブリゾートを訪れるお客様は、リゾートのダイビングスタッフとこの不思議な現象をみられるダイビングを体験することが出来ます!

ダイビングは、1:1または1:2(ガイド:お客様)の比率でご案内しております。

このFLUOダイビングまたはシュノーケルについてのお問い合わせは、japan@wakatobi.comまたはワカトビのウェブサイトをご覧下さい。http://www.wakatobi.com/fishID/fluodiving_jp.html




写真提供:Wakatobi Dive Resort

13. Wayne MacWilliams 氏は、FLUOダイビングに最適な “The Zoo”というダイブサイトで、小さなウツボが発光する姿を完璧に捉えています!



写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams

14. FLUOのライトの下で普段とは全く違った姿を見せる海毛虫は、幼魚から成魚に成長して行く過程で、発色が変化することが分かっています。



写真提供:Liquid Motion Film

15. 日光の下ではよく見えないオトヒメエビの顎も、夜行うFLUOダイビングに出かけると、明るく黄色に光っているのがよく分かります。海洋学者たちは、小さなカイアシ類を捕獲するのに役立っていると考えているようです。



写真提供:Liquid Motion Film



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