お風呂場にある凄いモノ!

2013年12月11日(水)

海綿というと、スポンジなどの清掃用のアイテム等を思い浮かべますが、実は最も原始的な多細胞生物であると考えられていると同時に、サンゴ礁を形成する元になっているという説もあります。

それでは、今回はただのスポンジではない海綿に迫ってみましょう!


1. これまで私達は海綿と言うと食器類を洗ったり、車をきれいにしたり、お風呂で使うスポンジと考えていませんでしたか?

今日では合成樹脂のスポンジが大半を占めますが、ずっと昔は直接海から取っていました。しかし文明が進むにつれ、船上にコンプレッサーを積みホースの付いたヘルメットで水中にいられる時間が増えると、世界中で海綿が取られるようになったのです。

現在でも、エーゲ海や黒海で育った海綿を使ったナチュラルスポンジなどが人気を集めています。

人間が大規模な収穫を行ったため、自然に生息するカイメンが激減しまいましたが、幸いなことに長い間に渡り海の保護を行ってきたワカトビのエリアでは、巨大で様々な種類のカイメンを見ることができるんですよ!


写真提供:ワカトビゲスト Steve Rosenberg


2. 海綿動物が、動物界で最も原始的でシンプルな多細胞生物ということはご存知でしたか? 言い換えると、海綿動物は5億以上も前から海に生息しているということです。

ワカトビは世界でも海綿動物の種類が多いエリアのため、広角レンズで水中写真を楽しむフォトグラファーにも人気があります。種により好む生息環境が異なるため、様々な生息地があるのも種類の多様性に関係していると考えられています。


写真提供:ワカトビゲスト Walt Stearns


3. 海綿動物は、表面に小孔と呼ばれるたくさんの小さな穴があり、ここから水を取り込んでいます。海綿動物は、神経や消化器、循環器を持たない代わりに、水の流れを維持し酸素や微生物、有機物を取り入れたり、廃棄物を除去したりする作業を自分の体内を通じて行っています。


写真提供:ワカトビゲスト Warren Baverstock


4. 海綿動物には骨格がないと思っている方も多いと思いますが、実際には骨格を持っているのです。

その骨格は、骨片と呼ばれる小さなガラスを組み合わせた様な針状や棒状の固形物で形成されています。サンゴとは異なり、海綿動物が死んでしまうとその骨片は水に溶けてしまいます。サンゴは死んだ後も、そこに他の生物が成長していけるよう強固な骨格を残していきますが、海綿の骨格はすぐに分解しはじめ海底の一部となるのです。


写真提供:ワカトビゲスト MacWilliams


5. 一般的に“単純な”とか“原始の”と呼ばれる一方で、事実より高度な動物であるとされることもあるようで、様々な形や色、サイズそして質感をもつ海綿は、非常に興味深い進化を続けてきました。

様々な種類があるのも、効率的に水中で生きていくために長年の月日を経て変化したもと考えられています。 100年以上生きることができ、象の耳のように巨大な海綿は見る者を驚かせてくれます。


写真提供:ワカトビゲスト Mark Snyder


6. およそ5,000から10,000種の海綿が確認されていますが、淡水に生息しているのはわずか150種ほどで、残りは世界各地の海水で発見されています。

ワカトビのような熱帯の海域では、カラフルで水深100m以内に生息している種がほとんどのようです。


写真提供:ワカトビゲスト Richard Smith


7. 海綿はタイマイの好物でもありますが、骨片で組み合わされた海綿を食べるなんて少し奇妙ですよね?

いくつかの海綿は毒性が強いため、それを食べているウミガメの肉が有毒な場合もあり、その肉を食べた場合致死に至る事もあるそうです。


写真提供:ワカトビゲスト Rodger Klein


8. タイマイが海綿を好んで食べること以外、ほとんどの魚は海綿の味が好きではないだけではなく、他にも理由があるようです。

この写真のように、カエルアンコウの仲間は質感や色を海綿に似せて、何も知らない魚や甲殻類を狙います!またカエルアンコウは、ゆっくりですが皮膚の色と質感を周囲とマッチできるよう変化させることもできるのです!見つけにくいのも不思議ではありませんね!!


写真提供:ワカトビゲスト Ken Knezick


9. 熱帯の海域に生息する海綿は、毎年ほんの少しずつ成長し、200年以上生きられるそうです。ワカトビのように保護されている海では、ウミシダや甲殻類などのサンゴ礁でも小さい生物のホストとしての役割も果たしています。

写真提供:ワカトビゲスト Walt Stearns


10. ミズガメカイメンをホストとするピンクスクワットロブスターは、マクロ生物を狙うフォトグラファーにも人気の高い生物です。

赤い目に紫がかったピンク色の体、そして体にはふさふさした毛が生えていて見た目はなかなか奇抜な生物です。名前にはロブスターとありますが、エビよりもカニに近いちょっと風変わりなピンクスクワットロブスターは、海綿の割れ目に隠れているので海綿全体をよく見てみると何匹か見つけることができますよ!


写真提供:ワカトビゲスト Steven Kraus


11. 海綿の生殖は、オスとメスが同体のものと別々の種があります。いずれにしても、海綿の放卵と精子の放出は月の満ち欠けと関係しているようで、受精した後は親の体内で育つ胎生のものと卵生の種があります。


写真提供:ワカトビゲスト Walt Stearns


12. ワカトビのように様々なサンゴがひしめき合う海域では、海底に生息する生物も多いため、着底できる場所の争い合いとなります。


写真提供:ワカトビゲスト Walt Stearns


13. そんななか底生生物として成功しているのは、海綿がサンゴやその他の生物に“科学的な兵器”を使い場所を確保しているからなのです!

その化学物質とは海綿の代謝の副産物のことで、科学者たちはこれらの化学物質のいくつかは特定の癌性腫瘍を治療するための医薬品に用いられている成分と同じ成分を含んでいる事が分かったのです。また、関節炎や心臓病、AIDSのような疾患に有効な化合物である可能性もあるそうです!!


写真提供:ワカトビゲスト Walt Stearns


14. 海綿は、大きさを問わず多くの生物に住み家を提供しています。きっと、そのいくつかを既に見たことのあるダイバーの方は、どこをどう探せばどのような生物を見つけることができるのか、もうご存知のはずです!


写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliam


15. 小さなハゼやギンポをはじめ、幼魚がシェルターとして海綿の割れ目を利用しています。


写真提供:ワカトビゲスト Allan Saben


16. 時には、カラフルなウミウシが海綿を這いずり回り、好物のヒドロ虫を探している姿を目にする事もありますよね?


写真提供:ワカトビゲスト Pasqualle Pascullo


17. この2匹の大きなドクウツボは、“ドゥニア・バル”というダイブサイトにあるミズガメカイメンの中で抱き合うように隠れていました。

このように、大きな生物も日中は海綿の中や陰に隠れ、夜になるとハンティングに出かけて行きます。


写真提供:ワカトビゲスト Luc Eckhaut



18. お風呂でスポンジを見かけたら、ワカトビの海に住む海綿の親戚だということを思い出してください。

ワカトビでは、大小さまざまな海綿がたくさん生息しているので、どんな生物がこのような生息地を好むのか一緒にチェックしてみませんか?
写真提供: Wakatobi Dive Resort



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