ワカトビのビックリ生物

2012年4月2日(月)

ワカトビの海は、海洋保護区にも指定されているだけあって、生き生きとしたサンゴ礁が広がる素晴らしい景色を見ることができます。

海ウチワは、成長するまでにとても時間がかかる植物で、大きいサイズになるまで100年近くかかる種類もあります。ワカトビでは、数メートルにもなる大きくて健康な海ウチワがたくさんあります。

また、海ウチワは非常に壊れやすく、誤ったフィンキック、きちんと固定していない水圧ゲージ、または大きいカメラやストロボを無理やり押し付ける行為などにより、簡単にダメージを受け、場合によっては死んでしまうこともあります。

しかし、中性浮力が完璧にとれていれば慎重にアプローチすることができ、他のダイバーが後方に移動した時などに触れていないか注意を払うなど、少し気を使うことで海ウチワを傷つけずダイビングを楽しむことができるのです!


写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams


どこからも遠く離れたワカトビダイブリゾートでは、色鮮やかで健康なサンゴ礁とカメやエイといった多様な海洋生物に遭遇することができます。

プライベート・アイランドで、一人ひとりを大切にした質の高いサービスと設備の整ったリゾートで、貴重な時間を過ごしてみませんか?



慎重に海ウチワの周辺と流れを確認してから、まず自分の位置を固定するための場所(指2本くらいおける砂地部分や岩またはバディーを使う)を海ウチワの近くで探してみてください。それから、海ウチワに触れていないか注意しながらカメラとストロボの準備をしていきます。

海ウチワと十分な距離を保ちながら、小さなポリプを念入りに二回見てから、ゆっくり見ていくと、ピグミーシーホースなどの小さな生物を発見することができるのです。時間をかけ慎重に探してもピグミーシーホースは、ポリプのひとつのように見えるので簡単に見逃してしまいますが、諦めず探してみてください。

彼らが危険を感じると、ダイバーに背を向ける格好で海ウチワの間に隠れてしまいます。こうなってしまうと撮影は不可能です。しかし、たっぷり時間をかけてゆっくりアプローチしたり、ライトの調整やシャッター数を制限したりすることにより、彼らを安心させることができ、完璧なショットを撮れる可能性が出てきます!



写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams

地球上で一番小さなタツノオトシゴ属のピグミーシーホースは、ワカトビで一番人気のある美しい住人(魚?)です。彼らは人生のほとんどを、ひとつの海ウチワで過ごすので、“彼らの”海ウチワの安全と健康は、彼らの生存に関わってきます。

小さなピグミーシーホースとデリケートな海ウチワは、ダイバーにより損傷の危険に常にさらされています。科学者たちの研究によると、外敵よりダイバーが与える影響の方が遥かに高いとのことです。一番の脅威は、もちろん生息地の破壊や損傷です。

誰もが数メートル先から大きなストロボのフラッシュを、浴びさせたれたら失明してしまうように、小さなピグミーシーホース(最大で2.7cm)に繰り返しフラッシュをたくことは、ストレスを与えてしまうだけではなく、時には殺してしまうこともあります。海ウチワの繊細さだけではなく、ピグミーシーホースは瞼を持たないということも考慮し、夜間の撮影は必ず避けるようにしてください。

ワカトビのダイブガイド(ダイブ・エクスペリエンス・マネージャー)は、ピグミーシーホースの好む生息地や行動パターン、生活習慣を熟知しているので、彼らの助けを借りてゆっくり確実に、この可愛い生物の完璧なショットを撮れるようチャレンジしてみてください。


写真提供:ワカトビゲスト Frank Owens

海ウチワに生息する他の魚はというと、赤い編み目模様が素敵なクダゴンベです!

海ウチワの枝で、クダゴンベが休んでいたかと思うと突然、小さなエビやカニなどを捕食するために泳ぎはじめたりするので、とても忙しそうな魚です。彼らの大好物はというと・・・ピグミーシーホースなのです>< 特にカメラのライトを浴びて、目立っているピグミーシーホースは食べられてしまう可能性が高いようです。

ワカトビエリアでは、32種類のゴンベ科の魚が確認されており、カラフルで変わった尾ビレを持つこの魚は、フォト派ダイバーに人気の被写体でもあります。


写真提供:ワカトビゲスト Ken Knezick

豪華なクルーズ船のペラジアン号は、リゾートからはアクセスできない少し離れた島々を訪れ、リゾートエリアでは見ることのできない、異なった種類の水中生物に遭遇することができます。

ペラジアンクルーズのナイトダイビング・スポット“マジックピア”は、特に人気が高いダイブサイトのひとつです。夕暮れ時にダイビングに行くと、たった5m ほどの所で大きく太ったニシキテグリの産卵シーンを見ることができるので、一生に一度は潜りたいサイトのひとつと言っても過言ではありません!



たくさんのニシキテグリが暗くなるまでの間(約40分)求愛ダンスを披露してくれます。

通常オスがメスよりも大きく、メスを惹き付けるために独特な模様を持っています。このとてもカラフルな模様が中国皇帝の鮮やかな衣の色に似ていることから、英語ではマンダリンフィッシュと呼ばれています。

オスのニシキテグリがメスの周りを泳ぎ、機会があるごとにヒレで合図を送ります。メスがその誘惑に応えると、一緒に1mほど上昇し産卵放精する姿は、まるで寄り添いながら頬にキスをしているようです!上昇のピークに達した所で、精子と卵を同時に放出し、その後静かに底に降り立ちます。

頬と頬を寄せ合いペアで一緒に泳ぐ姿は、まるでロマンティックなダンス会場で男性がパートナーをエスコートしているようにも見えます。


写真提供:ワカトビゲスト Allan Townsend

ゴンベ科の魚は、皮のない胸ビレのおかげでサンゴの上に着底することができます。彼らは高い位置に場所をとり、鷹のように周囲を窺っています。この動作から、英名のホークフィッシュ(ホーク=鷹)がきているようです。

ほとんどのゴンベ科の魚は単独で行動していますが、サラサゴンベはペアでよく見られます。ボス的存在のオスが死んでしまった場合は、性転換機能を持つメスがオスになります。また、彼らは浮力のあるたくさんの卵を放卵し、卵は孵化するまで水中を漂い続けます。


写真提供:ワカトビゲスト Claus Meyer

ペラジアン号クルーズで、サワ島周辺に来た時は“チャネル”という素晴らしいドリフトダイブのできるサイトで潜るのに、いいチャンスです! ここではサメやエイ、ナポレオン、ギンガメアジの群れなど大物の魚に遭遇することができます。



一般的にナポレオンと呼ばれるメガネモチノウオは、オスが成長すると2m にまで達するので、ベラ科の中でも大きい魚のひとつです。彼らは、軟体動物や甲殻類、棘皮動物を餌とし、毒を持つハコフグやアメフラシ、オニヒトデも食べてしまうという数少ない魚なのです。メスのメガネモチノウオが、30年間生きたことも確認されています!!

彼らは、雌性先熟型で約9歳になると、何匹かがメスからオスに性転換します。しかし、この魚は長生きできる魚なのにもかかわらず、非常に低い繁殖率に加え、無謀な乱獲により絶滅の危機にさらされているほどです。

海洋保護区内にあるワカトビの海では、絶滅危惧種に指定されている魚のいくつかを見ることができます。



サンゴの基盤部分には硬い石灰質の骨格があり、イソギンチャクやクラゲのような柔らかい半透明のポリプが、硬い骨格の中に住んでいて、サンゴ礁が形成されています。サンゴが色鮮やかなのは共生しているたくさんの褐虫藻によるものです。

水温や水質の変化により非常にダメージを受けやすく、ストレス状態が続くとこの褐虫藻がいなくなってしまいサンゴが白化し始めます。そして、この状態がさらに続くとサンゴが死滅してしまいます。

ポリプは夜になると、刺胞のある触手を使ってプランクトンや小さな魚、甲殻類を捕食し生きています。


写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams

ワカトビでよく見られるハナヒゲウツボは、ウツボ科の中できっと一番美しいウツボでしょう。砂地や岩場、ガレ場を探してみると、このエレガントなウツボに遭えるチャンスです!オスのハナヒゲウツボは、鮮やかな青色の体に特徴のある黄色の前鼻孔を持つので割りと簡単に見つけることができます。

時には、ハナヒゲウツボが小さな魚や甲殻類を追って、穴から全身を出すことがあります。美しいリボンが舞うような姿から、英名では“リボンイール”と呼ばれています。また、彼らは1mほどまで成長することも確認されています。


写真提供:ワカトビゲスト Brad Snyder

キンチャクダイ科の魚の中できっと一番美しいタテジマキンチャクダイは、幼魚、成魚ともにカラフルで、ワカトビの海域でもよく見ることができます。彼らは他のキンチャクダイや、時には同じ種類の魚からからナワバリを奪う積極的な魚です。

ペラジアン号クルーズで、ブトン島のバトゥトゥロ近辺でダイビングをすると、たくさんの幼魚を見ることができますが、動きが早いためシャッターチャンスが難しい魚でもあります。


写真提供:Liquid Motion Film

ハナヒゲウツボのオスがメスに性転換し始めると、黄色がかった青色に変化し始め、最終的には完全に黄色になります。

ワカトビのエリアでは、黒色の体に黄色の背びれを持つ幼魚も頻繁に見られますが、メスのハナヒゲウツボやこの写真のように変化途中のハナヒゲウツボを見られるのはとても珍しいことです。


写真提供:ワカトビゲスト Emry Oxford

この素晴らしい渦巻き模様も成長するにつれて青と黄色の縦縞模様に変化していきます。

海洋生物学者によると、同じ姿をしていると容赦なく他の魚に攻撃されてしまうので、幼魚時の色や模様は、身を守るためだと考えられているそうです。


写真提供:ワカトビスタッフ Ana Fonseca

サンゴ礁外縁のアマモ場やガレ場は、ヨウジウオが好む生息地です。簡単にアクセスできるワカトビのハウスリーフでは、200種類のヨウジウオ科の魚を見ることができます。

彼らは決して泳ぎが上手な魚とは言えませんが、小さな背びれを一生懸命使い、ゆっくり移動することができます。

また彼らの親戚のタツノオトシゴのように、育児はオスの仕事となっています。オスは卵を保護する特別な袋を持っており、メスはそこに卵を産みつけます。いくつかの種は、卵が孵化するまでの間のみに使用する、スポンジ状の皮膚からできた袋を持つものもいるようです。幼魚は生まれた瞬間から親から独立し、一人で生きていかなければなりません。


写真提供:ワカトビゲスト Arthur Haseltine

アマモ場は、様々な生物が生息する場所のひとつでもあります。

海草に擬態しているカミソリウオやオイランヨウジ、ウツボ、オニダルマオコゼ、カエルアンコウ、タコなどじっくり探してみると海草や枯れ葉、岩などに擬態もしくは潜んでいる様々な生物を見つけることができる面白いエリアです。

海草が光合成する必要があるため、砂地や石、死サンゴの混ざった砂地の広がる浅場にあり、穏やかなサンゴ礁外縁にあるため、様々な生物が成長しやすく、ダイビングだけではなくスノーケリングで探検するのにも、最適な場所です!  



写真提供:ワカトビゲスト Eric Cheng

ウミウシやヒラムシは深度に関係なく、様々な生息地で見つけることができます。 柔らかいボディーにシンプルな器官を持ち、美しい色彩と様々な形をしたウミウシは、とてもこの世のものとは思えず、SF映画から飛び出てきた物のようにも見えます。

全てのウミウシは2本の触角を持ち、鰓を持つ種と持たない種があるだけではなく、何かに擬態して、外敵からの攻撃を防ぎながら生活している種もいます。また嗅覚、接触、摂食を巧みに使って生活する行動力と感覚システムには驚かされます!


写真提供:ワカトビゲスト Frank Owens

ウミシダや海草、藻類、カイメンや海ウチワなど様々な動植物にカモフラージュできる素晴らしい擬態能力を持つカミソリウオ科の魚達を見つけるのは、至難の業です。

カミソリウオとヨウジウオと合わせたような、ハリミーダゴーストパイプフィッシュはハリミーダという海草/藻類を生息地とし、長い口を使って小さな甲殻類を吸い込む形で捕食しています。カモフラージュ上手な彼らを見つけるのは、不可能に近いですが、根気よく探してみましょう。



写真提供:ワカトビゲスト Richard Smith

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