可愛いけど毒を持っているフグについて

2013年7月9日(火)

この可愛い目は、フグフェチにはたまらないですよね???

1. ワカトビの海では、危険を感じると体を膨らませ針を立てるハリセンボン科やハコフグ科、フグ科など様々な種類のフグに会う事ができます。それでは、どんなフグがいるのか見ていきましょう。



写真提供:ワカトビゲストSteve Miller

2. 世界には120種類以上のフグの生息が確認されていて、そのほとんどがサンゴ礁の広がる海で見ることができます。常に針を見せているハリセンボンとは異なり、フグは攻撃されるまで防御モードの体勢を崩しません。ほとんどの場合、フグは大きなおたまじゃくしのような形をしていて、膨らんだ目と鼻の辺りは子犬の様にも見え、フグフェチにはたまりません!フグの体長は、2.5cmから1.3mのものとサイズも様々です。



写真提供:ワカトビゲストKendra and Mike Chittenden

3. 一見、表情が豊かに見える大きくてとても特徴のある目をしている可愛いフグですが、他の魚のようにとてもいい視力を持っています。また、それぞれの目を別々に動かすことができるため、広いエリアを簡単に見渡すことが出来るのです!



写真提供:ワカトビゲストSteve Miller

4. また、両目を前に向けると奥行きもきちんと見られる優れた目を持っています。一部のフグは、サングラスの役目を果たす虹彩という膜を持っているため、明るい光の下でも簡単に周囲を確認することが出来ます。



写真提供:ワカトビゲストPaula Butler

5. 小さな胸びれと背びれを使って水中を泳ぎ回るのには苦労しませんが、あまり早く泳ぐことが出来ないため、フグが泳ぎで他の魚に勝つことはありません。しかし、危険が迫ると一目散に逃げていきます。 舵の役目をしている尾びれが、急速発進の時にも役立ちます。フグは優れた視力と急速発進できる能力を組み合わせることで、多くの危険から逃れることが出来るのです!



写真提供:ワカトビゲストMark Snyder

6. 敵から逃げ切れない時は、フグは体を膨らませるという次のプランを使います。フグは体を膨らませるために、急いで水を飲み込み柔軟性のある胃に送り込むと、倍の大きさにまで膨張します。こうするだけで、一部の捕食者を阻止するのに十分です。しかし同時に、隠れていた針を立たせるとほとんどの捕食者は手を出してこないのです!



写真提供:ワカトビゲスト Steve Miller

7. フグの体の多くの部分とそれぞれの針には、致命的な毒素で満たされているので、捕食者が気をつけなくてはいけないのは、外見だけではありません。

テトロドキシンと呼ばれるこの強力な神経毒を持つフグは、コロンビアの熱帯雨林に生息している金色の猛毒吹き矢蛙に続き、世界で二番目に最も有毒な脊椎動物ということになります。



写真提供:ワカトビゲスト Marina and Victor Zaslavsky

8. フグの毒は、サメなどの大型捕食動物を殺すほどの効果はありませんが、人間は簡単に死に至ることになります。このように、致命的な毒を持っているのにも関わらず、日本や韓国では珍味として食べられている種がいくつかあるため、外国の方からすると驚きなのも頷けます。

訓練を受け資格をもった料理人がフグを裁いていても、残念ながら死亡事件は何件か起きています。



写真提供:ワカトビゲスト Rob Darmanin

9. フグは雑食性であり、サンゴやカイメン、岩やサンゴに生える藻、ウニやヒトデなど様々な植物や動物を食べます。フグの大型種は、貝類やエビ、カニなどの軟体動物も食べます。



写真提供:ワカトビゲスト Frank Owens

10. フグ科の学名を見てみると “Tetraodontidae” とあり、大きな4本の前歯というのを意味しています。これらの歯は、軟体動物や甲殻類の殻を壊すために使われます。



写真提供:ワカトビゲスト Doug Richardson

11. 多くのフグは比較的単調な模様ですが、独特な模様を持っている種もあります。ケショウフグは、人間の指紋のように個体ごとで若干異なる模様をしています。 幼魚はカイメンの上で休んでいる姿がよく見られ、沈船やオーバーハング、大きなテーブルコーラルの下では成魚が頻繁に見られるので、きっとフグは単独行動が好きなのでしょう。



写真提供:ワカトビゲスト Paula Butler

12. アラレフグは、くちばしのような口を使ってカイメンをバクバク食べちゃいます。その他にも、ホヤやカニ、貝類、藻類も好んで食べます。



写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams

13. フグはユニークな防御方法を持っているだけではなく、実はとても変わった求愛方法をするのです!

いくつかの種のオスは、砂地に複雑な円形を作ることで、メスの注意を惹きます。メスは気に入った模様の所で、オスと一緒に水面に向かって泳いでいき卵を受精させます。その直後、受精卵となった卵は、オスの作った円の中で落ち着く訳です。より複雑なデザインは、メスに気に入られる可能性が高いようなので、オスは精巧な円形を作れるよう頑張るようです。



写真提供:ワカトビゲスト Steve Miller

14. フグも他の多くの魚のようにクリーニングステーションへ行き、ホンソメワケベラやオトヒメエビ、テナガエビなどから寄生虫を取ってもらいキレイにしてもらうのが大好きです。リラックスできるので、この場所がお気に入りなのでしょう! きっと、私達がスパとかに行って、マッサージを受けるのと同じことしれません。

またこんな時は、体を膨らませたり、泳ぎ去ってしまったりする可能性が低いので、私達ダイバーが近くまでアプローチするのに最適の場面です。



写真提供:ワカトビゲスト Mark Snyder

15. コクテンフグは、黒い斑点が身体中にあり、灰色や黄色、白っぽいものなどカラーバリエーションが一番豊富なフグです。まれに、金色またはオレンジ色の個体が見られることもあるので探してみてください!

サンゴの豊富なエリアを好み、日中はオーバーハングなどの割れ目付近にいたり、ミズガメカイメンを見つけて休んでいたりします。この種は主にハードコーラルを好み、特に枝サンゴの先端やイソギンチャクを好んで食べます。



写真提供:ワカトビゲスト Wayne MacWilliams

16. 大きなクリクリお目々に可愛らしい子犬のような顔のフグは、写真を撮るダイバーにも人気の魚です。追いつめられたり、脅威を感じたりすると体を膨らませ、針がある場合は針を立ててしまうので、可愛いショットは撮れなくなってしまうので気をつけましょう。



写真提供:ワカトビゲスト Paula Butler

17. フグが膨らんだ姿を見るために意図的に追いつめたりするダイバーがいますが、この行為は魚にストレスを与えるだけではなく、魚がダイバーを怖がる原因になってしまうかもしれません。他のダイバーがこの可愛い魚に会える機会をなくさないためにも、今度フグを見かけたら少しスペースを空けて観察または撮影するように心がけましょう。



写真提供:ワカトビゲスト Steve Miller

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